君にたくさんのありがとうを



「ちょっとは信じてくれた?」



放課後になって私のところまで来た神代くんがそう言った。



「うん……ちょっとは」


「でしょ?俺にはわかるんだよ、未来が」



出会ってすぐにそんなことを言われていたら、「はぁ?」とでも返すところだけれど、今となってはそうもいかない。


少しだけ、信じてしまっている自分もいるから。



「そう、みたいだね」



歯切れの悪い返事をしてしまったけれど、心のどこかでは本当に信じ始めている私もいる。



「今日は私が当てられるっていう夢を見たって教えてくれたけど、私が交通事故に遭う日はわからないの?」


「あぁ、それがわかんねーんだよ。その場面を見ただけで日にちを見たわけじゃない。逆に今日のは、黒板の日付が一緒に見えたから今日だってわかったんだ」


「へぇ、そうなんだ」



そういう仕組みなんだね。


夢の中で日付が確認できれば起こるその日がわかる。


それ以外はいずれ起こることで、いつ起こるかはわからない。


また1つ、神代くんの不思議な能力のことがわかった。





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