君にたくさんのありがとうを
私の答えは決まっている。
苦手な一条くんと付き合うなんてもってのほか。
しかも一条くんは、英里の好きな人だし。
付き合ってもいないのに一条くんと目が合っただけできゃーきゃーと惚気話をする。
私は一条くんのどこがいいのか全くわからない。
「ごめん。私、今のところ誰とも付き合う気ないから」
私がそう言うと、一条くんは目をまん丸くして驚いていた。
私が「うん」とでも言うと思ったんだろうか?
自分はイケメンだから誰にでもオッケーして貰えると思ったら大きな間違いだ。
なんだかしてやった感があって、嬉しくなった。
「用事がそれだけなら私帰るね」
「え、ちょっと……友達からでもダメかな?」
わからないやつだ。
私は一条くんみたいな人が1番嫌い。
「ごめん、ちょっと……無理かな。じゃあね」
まさか振られるとは思ってなかったのだろう。
拍子抜けした一条くんの顔が傑作だ。
見るからに私がオッケーする方に賭けていたみたいだから、罰ゲームでも受ければいいんだ。
そう勝ち誇った顔でその場を後にした。