君にたくさんのありがとうを
なんて伝えようか。
どこから伝えようか。
「もうすぐ交通事故に遭うよ」
俺の口から出たのは、シンプルな言葉だった。
「……え?何、言ってるの?」
「そ、そうだよな。突然こんなこと言われても困るよな」
桜庭さんは、困惑しているようだった。
それもそうだ。
俺も突然交通事故に遭うなんて言われても信じることもできなければ、困惑してしまうに決まっている。
「意味、わからないんだけど」
「俺、予知夢が見られるんだよね」
信じてもらえる保証なんてないけれど、ここまで言ってしまったからには最初から話さなければならない。
「予知夢……?」
「って言われても意味わからねぇよな……」
俺が心の声をボソッと呟くと、桜庭さんはこくんと頷いた。
「夢で見たことが現実で起こるんだよ」
「それはわかるけど」
「何から説明しよう。さっきも言った通り俺、予知夢が見られるんだけれど、その夢で桜庭さんが出てきたんだ」
「私?」
「あぁ。それで、学校の帰り道で桜庭さんが交通事故にあってそれで……」
最後は残酷すぎて伝えられなかった。
言葉を詰まらせた俺を見て、桜庭さんはこの後どんな言葉が続くのか察したようだった。