君にたくさんのありがとうを



それから数日、桜庭さんと一緒に帰る日が続いた。


そうは言っても、いつも桜庭さんは逃げるように帰っていくから追いかけているだけなのだけれど。


そんなある日、また夢を見た。


桜庭さんがクラスメイトから虐められる夢だった。


その原因は俺で、その中心にいた奴は俺のことが好きなようだった。


へぇ、俺が好きなんだ。


そんなことを夢の中で知る。


俺は特に興味もない奴で、どちらかと言えば桜庭さんの方が興味がある。


ミステリアスでどんどんと桜庭さんのことを知りたくなる魅力を持って


その見た夢は、その日に現実になった。



「黙ってないで何とか言いなよ」



クラスの女子が、何やら桜庭さんのことを責め立てていた。


本当、そんなことをやって何が楽しいんだか。


しかも、俺にバレてないと思っているのも不思議だ。


俺には全てバレているのに。





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