君にたくさんのありがとうを



「自分のやったことわからないわけ!?」



未奈ちゃんは怒っていた。


私にはその意味が全くわからなかった。



「英里の好きな人バラした上に一条くんに告白するとかどういう神経してんの?」


「えっ……」



なんで、そんな話になってるの?


告白してきたのって一条くんの方だよね?


確認するように一条くんの方を見ると、不敵な笑みをしてこちらを見ていた。


一緒にいるグループの子たちは可笑しそうに笑っている。


───ハメられた。


変な噂を流したのはあの子たちだ。



「違っ……!」


「本当、最低っ!」



そう言い残して、未奈ちゃんは英里ちゃんを連れて教室を出ていってしまった。


まだちゃんと本当のことを話していないのに。


私が一条くんのことを振ったから、腹いせにこんな嘘を流してるの?


今の未奈ちゃんたちとのやり取りを見て、みんな本当のことだと思っている。


唯一の友達だった2人にも見放されてしまった。


信じ合える友達だと思っていたのは私だけだった。


何度か“違う”と伝えようと思ったけれど、2人にも避けられ続けて何も言えなかった。


根も葉もない噂は広がるだけ広がって……


この日から私はひとりぼっちになった。




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