君にたくさんのありがとうを
宣言通り、今日も朝早く家を出た。
電車を降りて駅を出ると、詩織の姿を見つけた。
よかった、詩織に会うことができた。
ぴったりの電車に乗ってくることができて嬉しくなる。
登校中だというのに、詩織は手元に単語帳を開いていた。
本当に詩織は真面目な人だ。
「ふぁあ……」
そうかと思えばとても大きな欠伸をしていた。
そんなちょっと抜けているような姿さえも可愛いと思う。
「大きなあくびだね、寝不足?」
「……神代くん」
「徹夜はあまり良くないよ?」
真面目な詩織のことだ。
昨日も夜遅くまで勉強を頑張っていたのだろう。
「わかってる。でも、今日の教科はちょっと自信なくて」
「詩織の苦手な数学もあるもんなぁ」
「……うん」
そう答える詩織はどこか自信がなさそうだった。
俺はこんなに勉強を頑張っている詩織のことだから大丈夫だと思う。
「最近は予知夢見ないの?」
詩織から予知夢のことを聞かれるのは初めてだった。
俺に興味を持ってくれたみたいで、嬉しくなった。
「気になる?」
「ま、まぁ……」
「今日、雨が降るよ」
それが今日の夢だった。
黒板の日付も見たから間違いない。