君にたくさんのありがとうを
テストが終わった放課後。
窓の外の天気を見て、みんなが嘆いていた。
「傘持ってきてないし……最悪」
俺の机の周りに集まってきていた岡田がそう呟く。
「だよなー。颯馬は傘もってきた?」
「そんな気がして持ってきたんだよね」
カバンから取り出して圭佑たちに見せびらかす。
「すげぇ、予言者かよ。俺も入れてよ、一緒に帰ろうぜ!」
「え、ずるい私も入れてよ」
「3人も入るわけないだろ?」
何故か俺が傘に入れてあげる前提で話が進んでいく。
「いやいや、お前ら入れねーよ」
「はぁ?なんでだよ」
「先客がいんの」
「あぁー、桜庭さんね」
圭佑はすぐに察したようで、詩織の方へと視線を向けていた。
「颯馬、桜庭さんとあまり一緒にいないじゃん?」
「岡田があんまり見てないだけだと思うけど……結構俺、詩織と話してるよ?行き帰りとか」
「ふぅーん」
岡田は興味があるのかないのか、微妙な返事をしていた。