君にたくさんのありがとうを



テストが終わった放課後。


窓の外の天気を見て、みんなが嘆いていた。



「傘持ってきてないし……最悪」



俺の机の周りに集まってきていた岡田がそう呟く。



「だよなー。颯馬は傘もってきた?」


「そんな気がして持ってきたんだよね」



カバンから取り出して圭佑たちに見せびらかす。



「すげぇ、予言者かよ。俺も入れてよ、一緒に帰ろうぜ!」


「え、ずるい私も入れてよ」


「3人も入るわけないだろ?」



何故か俺が傘に入れてあげる前提で話が進んでいく。



「いやいや、お前ら入れねーよ」


「はぁ?なんでだよ」


「先客がいんの」


「あぁー、桜庭さんね」



圭佑はすぐに察したようで、詩織の方へと視線を向けていた。



「颯馬、桜庭さんとあまり一緒にいないじゃん?」


「岡田があんまり見てないだけだと思うけど……結構俺、詩織と話してるよ?行き帰りとか」


「ふぅーん」



岡田は興味があるのかないのか、微妙な返事をしていた。





< 95 / 205 >

この作品をシェア

pagetop