瞳の中の住人
　目当ての野鳥を探していたため、足下に気をつかいながら木々を見上げて歩いていた。

　携帯の電波は微々たるもので、場所を特定するのに難儀したものの、小一時間程度歩き回った成果もあり、納得のいく写真が撮れた。

　そろそろ引き返そうかと思ったところで、白石刀哉は古めかしい小屋のような一軒家を見つけたと言った。

　こんな場所にだれかが住んでいるとも思えない。もしかすると廃墟かもしれない。わずかな好奇心にそそのかされ、その家の窓を覗きに近づいた。

　その瞬間、爆発がおきた。

　家の内部からとてつもない衝撃波を受け、目の前の窓ガラスがなかの圧力に負けて砕け散った。

　彼は両目を負傷し、後方に吹きとばされた。斜面を転がり落ちて、針葉樹にぶつかったところで意識をなくした。

　気がついたらかすかに薬品のにおいがただようベッドに寝かされていた。そばに寄った看護師から病院だと聞かされた。

　爆発がおきたことで、通りかかった運転手が警察に通報し、現場検証のさいに、彼が救出されたそうだ。
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