瞳の中の住人
まさか偽名だろうか。けれど一体なんのために?
彼の写真さえあれば浅海唯花に顔も確認することができたのだが、そんなものは持ちあわせていない。
今たしかなことは、白石刀哉が私に嘘をついていたということだ。
書店をあとにし、私は再び駅に向かった。スマートフォンを取りだし行き方を検索する。
兄が通っていた大学へ行き、白石刀哉が在学中かどうかを直接尋ねてみようとかんがえた。
スマートフォンで調べた結果、一般業務窓口である学生センターに向かった。
本館のある敷地内へ足をふみいれ、在校生である学生に場所を尋ねる。目当ての窓口にたどりつき、まるで役所のような印象を受けた。
学生相談と張り紙をされたところへ行き、あの、と声をかけた。私の存在に気づいた女性がすぐさま対応してくれる。
「二ヶ月前まで兄がこちらの大学に通っていて。大学の友人から借りたものを返せずに退学となったのですが……その友人の方がどの学部に所属しているのかを教えていただきたくて」
私が在学生ではないと覚り、女性は困ったように首を傾げた。
「お兄さんは今は……?」
借りた本人が返すのが一番いいだろうとかんがえたのか、女性は怪訝に眉をよせた。
彼の写真さえあれば浅海唯花に顔も確認することができたのだが、そんなものは持ちあわせていない。
今たしかなことは、白石刀哉が私に嘘をついていたということだ。
書店をあとにし、私は再び駅に向かった。スマートフォンを取りだし行き方を検索する。
兄が通っていた大学へ行き、白石刀哉が在学中かどうかを直接尋ねてみようとかんがえた。
スマートフォンで調べた結果、一般業務窓口である学生センターに向かった。
本館のある敷地内へ足をふみいれ、在校生である学生に場所を尋ねる。目当ての窓口にたどりつき、まるで役所のような印象を受けた。
学生相談と張り紙をされたところへ行き、あの、と声をかけた。私の存在に気づいた女性がすぐさま対応してくれる。
「二ヶ月前まで兄がこちらの大学に通っていて。大学の友人から借りたものを返せずに退学となったのですが……その友人の方がどの学部に所属しているのかを教えていただきたくて」
私が在学生ではないと覚り、女性は困ったように首を傾げた。
「お兄さんは今は……?」
借りた本人が返すのが一番いいだろうとかんがえたのか、女性は怪訝に眉をよせた。