瞳の中の住人
「い、いいんですか?」
願ってもない申し出に、若干声がうらがえり、恥ずかしくなる。自然と頬に手がのびる。
「はい。新刊のラスト一冊、譲っていただいたので」
瞬間、心臓がドクンと音をたてた。胸の内がわが熱くなったような気さえする。綾音の笑顔が夢でなんどとなく魅せられたものと一致し、喜びに打ちふるえた。
その日から綾音にすすめられた本を借り、読了したらまた返して別の本を借りる、というのが日課となった。
兄妹たちがはまって読んでいる本は読みやすい文章でつづられ、思った以上におもしろい内容だった。
喫茶店『Komorebi』で本の貸し借りをし、綾音とはその内容について雑談できるほど、仲良くなった。
綾音の日常に僕が存在する。それがなによりも嬉しく、有頂天になった。
「きみ、綾音の彼氏かい?」
びっくりしすぎて一瞬だけ呼吸がとまる。
サイフォン式のコーヒーを運んでもらったとき、彼女たちの伯父にそんな質問をされた。父親ではなく伯父であると彼女に聞いていた。
「ち、違うわよ、そんなんじゃないから! 伯父さんはあっち行ってて!」
照れながらも怒った綾音の表情がめずらしく、ついじっと見てしまう。
願ってもない申し出に、若干声がうらがえり、恥ずかしくなる。自然と頬に手がのびる。
「はい。新刊のラスト一冊、譲っていただいたので」
瞬間、心臓がドクンと音をたてた。胸の内がわが熱くなったような気さえする。綾音の笑顔が夢でなんどとなく魅せられたものと一致し、喜びに打ちふるえた。
その日から綾音にすすめられた本を借り、読了したらまた返して別の本を借りる、というのが日課となった。
兄妹たちがはまって読んでいる本は読みやすい文章でつづられ、思った以上におもしろい内容だった。
喫茶店『Komorebi』で本の貸し借りをし、綾音とはその内容について雑談できるほど、仲良くなった。
綾音の日常に僕が存在する。それがなによりも嬉しく、有頂天になった。
「きみ、綾音の彼氏かい?」
びっくりしすぎて一瞬だけ呼吸がとまる。
サイフォン式のコーヒーを運んでもらったとき、彼女たちの伯父にそんな質問をされた。父親ではなく伯父であると彼女に聞いていた。
「ち、違うわよ、そんなんじゃないから! 伯父さんはあっち行ってて!」
照れながらも怒った綾音の表情がめずらしく、ついじっと見てしまう。