瞳の中の住人
 私から少し距離をおいた場所で、小学生ぐらいの子供がふたりで遊んでいた。

 変わった形のスケートボードに乗っていて上手くバランスをとるさまに、感嘆の息をもらす。クネクネ動くあの乗り物はなんだろう、と首を傾げながら、もっていたショルダーバッグをベンチに下ろした。

「あれ、ブレイブボードっていうみたいだよ」

 ハッとして顔を上げると、すぐそばに白石刀哉が立っていて息がつまった。久しぶりに会う彼に、どこか説明のつかない違和感をおぼえるが、それがなんなのか判然としない。

「どうかした?」

 気づいたら首を斜めに傾けていた。

「ううん、なんでもないの」

 私はかぶりを振り、取りつくろうようにベンチに座った。

 白石刀哉は白シャツにベージュのカーディガンを羽織り、黒のパンツをあわせていた。全体的に清潔感のある服装だ。

 黒のセルフレーム眼鏡もあいかわらずで、似合っている。片手二つぶんの距離をあけ、彼が隣りに座った。

 朝方は少し冷えたが、日がさせばなんてことはない。私は少しだけ丈の長い、薄手のマウンテンパーカーを開けた。

「ひさしぶり、ね」

「……うん」
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