裏側の恋人たち
「そこで、提案なんだけどな。新居の引っ越しに合わせて入籍してくれ」

キリリと真面目な顔をして言ってるけど、昨日の夜、もう限界って叫んでたからね、この真面目な感じも台無しだよ?

でも、まあいいっか。

うんと頷くと瑞紀がガッツポーズした。

結婚式、新婚旅行をセットにしてお互いの仕事を調整することにして、それがいつになるかわからないから先に入籍をすることになった。

結婚式が終わるまでは妊娠しないように気をつけなくてはいけないけど。
つわりや体調を気にせず式も旅行も楽しみたいからね。

ご機嫌な様子で仕事に行く瑞紀を見送って私も出勤の支度をはじめた。

瑞紀が私の部屋に転がり込んでから積極的に夜勤をするようになり、夜一緒に過ごす時間を減らすようにしていたんだけど、さすがにそれも限界がある。

瑞紀の方は更にいろいろな意味で限界だったらしい。笑える。

私としてもお仕置きはそろそろいいかと思っていたところだったからちょうどいい区切りだと思う。
ベッドの配送予定日まであと10日余り。今度の休みには瑞紀のご実家に挨拶に行くつもりだったし。

もう少しの独身生活。

さて、後輩の愛菜にはいつ言おうかな。

愛菜はオジョウサマのパーティーの時に知り合ったドクターとはうまくいかなかったらしく、もう次の人と食事に行っているらしい。

見た目はおとなしそうでとてもかわいらしいんだけど、なかなかに恋多き女である。

この先私の結婚式に参列して知り合うことになる瑞紀の友人方やうちの兄貴とややこしいことにならないといいんだけど。



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