裏側の恋人たち
ーーー以降、館野家、雅田家、そして我が鳥越家は家族ぐるみのお付き合いになり、館野先生が学会などで海外に行ってしまうときなどは3家庭の母子だけが集まり旅行に行くという習慣が誕生した。
瑞紀は俺も行きたいなんて言ってたけど、もちろん置いていった。雅田さんも同様。母子だけの気分転換の交流会だからね。
それから、私が二人目を出産すると子ども返りをしたのは我が息子ではなく瑞紀でーーーかまってちゃん攻撃を発動された。
呆れると同時にかわいいと思ってしまった私はずいぶんと瑞紀に甘いと思う。
月日が経ちーーー
子ども達が大きくなって私たち夫婦の時間がやっと戻ってきたと思う。
若い頃のように激情に駆られるような気持ちと違って穏やかに流れる時間は心地いい。
昔、一緒にいることを諦めようとした私と違って手に入れようと動いてくれた瑞紀には感謝しかない。
家庭を持つ気がなかった瑞紀がなんと三児の父。
忙しかった館野先生の代わりに館野家の二人の子どもたちの世話をすることもあった。
私たち3家族は協力して8人の子育てをしてきた。
大学生になったすみれちゃんとうちの息子が付き合うようになり、莉空は私が2番目に産んだ現在高校生の娘と付き合っている。
莉空の2番目の弟はすみれちゃんの妹といい感じだ。
莉空の3番目の弟とうちの3番目の息子は親友らしい。
大学生3人とうちの娘は何もそんな身近で交際相手を作らなくてもと思うこともあるけれど。気心の知れた仲といえばこれ以上の関係はないと思う。
館野夫妻が知り合ったのは水音ちゃんが小学生の頃だったと言うし、私たちも昔なじみだと思うとこれは血筋なのかもしれない。
将来のことはわからないけれど、辛い思いはしないといいなと心から願っている。
親は干渉せず見守るのが正解だと思うし。