裏側の恋人たち
やっぱり瑞紀も美人さんが好きなんだ。
パーティーのケータリングが決まってからの2ヶ月。私と出かけたのは片手で数える程度。
夜勤明けでお店に行けば、親しくなった店員さんが「オーナーは上の事務所でコーディネーターと打ち合わせ中です」って申し訳なさそうに教えてくれた。
それも2回や3回じゃない。
コーディネーターの彼女と肩を並べて仲良く出掛けていく姿も見たこともあったし。
仕事で知り合って恋愛に発展したなんてよくある話。
片や病院で再会してから2年経っても食事するだけの仲の私。
少しでも瑞紀が私に恋愛感情を抱いてくれたならこの2年で何かしら進展があったはず。
何もなかったってことは、残念だけどそういうことなんだろう。
「響さん」
かけられた声に振り返ると瑞紀の持つお店の1つ、オーガニックレストラン『ル・ソレイユ』の店長が立っていた。
「お疲れさまです。将希さんも駆り出されていたんですね」
「こんな大規模のケータリングでしたからね。招待客の人数も半端ないし。大成功で終われそうでよかったです」
将希さんもホッとした顔をしている。
「いつものオーガニックレストランのユニフォームもお似合いですけど、このウェイターの格好もお似合いですね」
モデル体型の将希さんは何を着ても似合うと思うけど。
将希さんといえば、オーガニックレストランで着ているグリーンのギャルソンエプロンのイメージが強かった。
「響さんもそのワンピース素敵です。よくお似合いですね」
淡いグリーンのワンピースは上品なオーガンジー素材が使われていて、着ている私のテンションが上がるお気に入り。
「ありがとうございます」
お世辞だとわかっていても褒められると嬉しくて口角が上がる。
「今夜の慰労会は響さんも参加するんですよね」
「え…」
慰労会って、そんなのがあるなんて私は聞いてない。
でも、考えてみたら瑞紀はこのパーティーのために幾つかの店舗を臨時休業にしてあちこちのスタッフを動員していた。
だから、この後慰労会を企画していてもおかしくはない。いや、むしろ瑞紀なら当然。
わたしは小さく首を横に振った。
「私は従業員じゃないから」
「でも、ウェディングプランナーやパーティーコーディネーターの人たちも参加って聞いてますよ。いつも従業員の慰安旅行にも参加する響さんが来ないなんて…」
当たり前のように言っている将希さんに苦笑で返した。
確かに従業員の慰安旅行とか新年会、納涼会なんかには瑞紀に誘われて参加させてもらっていた。
でも、今回のは聞いていない。
何も関わっていないから誘われないのは当然だと思うけど、胸はモヤモヤとする。
私は誘われず、あのコーディネーターの彼女は行くのだ。
チラリと様子を伺うとまだ二人はベタベタとしていた。
「せんぱーい、二次会に移動しますよー」
タイミングよく愛菜から声がかかり私は将希さんに挨拶をして会場から離れた。
あの二人の様子を見たくなかったからちょうどよかった。
パーティーのケータリングが決まってからの2ヶ月。私と出かけたのは片手で数える程度。
夜勤明けでお店に行けば、親しくなった店員さんが「オーナーは上の事務所でコーディネーターと打ち合わせ中です」って申し訳なさそうに教えてくれた。
それも2回や3回じゃない。
コーディネーターの彼女と肩を並べて仲良く出掛けていく姿も見たこともあったし。
仕事で知り合って恋愛に発展したなんてよくある話。
片や病院で再会してから2年経っても食事するだけの仲の私。
少しでも瑞紀が私に恋愛感情を抱いてくれたならこの2年で何かしら進展があったはず。
何もなかったってことは、残念だけどそういうことなんだろう。
「響さん」
かけられた声に振り返ると瑞紀の持つお店の1つ、オーガニックレストラン『ル・ソレイユ』の店長が立っていた。
「お疲れさまです。将希さんも駆り出されていたんですね」
「こんな大規模のケータリングでしたからね。招待客の人数も半端ないし。大成功で終われそうでよかったです」
将希さんもホッとした顔をしている。
「いつものオーガニックレストランのユニフォームもお似合いですけど、このウェイターの格好もお似合いですね」
モデル体型の将希さんは何を着ても似合うと思うけど。
将希さんといえば、オーガニックレストランで着ているグリーンのギャルソンエプロンのイメージが強かった。
「響さんもそのワンピース素敵です。よくお似合いですね」
淡いグリーンのワンピースは上品なオーガンジー素材が使われていて、着ている私のテンションが上がるお気に入り。
「ありがとうございます」
お世辞だとわかっていても褒められると嬉しくて口角が上がる。
「今夜の慰労会は響さんも参加するんですよね」
「え…」
慰労会って、そんなのがあるなんて私は聞いてない。
でも、考えてみたら瑞紀はこのパーティーのために幾つかの店舗を臨時休業にしてあちこちのスタッフを動員していた。
だから、この後慰労会を企画していてもおかしくはない。いや、むしろ瑞紀なら当然。
わたしは小さく首を横に振った。
「私は従業員じゃないから」
「でも、ウェディングプランナーやパーティーコーディネーターの人たちも参加って聞いてますよ。いつも従業員の慰安旅行にも参加する響さんが来ないなんて…」
当たり前のように言っている将希さんに苦笑で返した。
確かに従業員の慰安旅行とか新年会、納涼会なんかには瑞紀に誘われて参加させてもらっていた。
でも、今回のは聞いていない。
何も関わっていないから誘われないのは当然だと思うけど、胸はモヤモヤとする。
私は誘われず、あのコーディネーターの彼女は行くのだ。
チラリと様子を伺うとまだ二人はベタベタとしていた。
「せんぱーい、二次会に移動しますよー」
タイミングよく愛菜から声がかかり私は将希さんに挨拶をして会場から離れた。
あの二人の様子を見たくなかったからちょうどよかった。