裏側の恋人たち

イレギュラーな恋 ④



「おはよう。今朝はいつもより早いね」

朝食を食べていると朝食トレイを手にした福岡先生が当たり前のように私の隣の席に座ってきた。

「おはようございます」

「昨日は斉田さんたちと出掛けていたんだって?楽しかった?」

「ええ。とても」
昨日は丸一日、先生や曽根田さんと顔を合わせなかったからとってもリフレッシュ出来ましたなんて言えたらどんなにいいだろう。

「そうか、だったら僕も参加すればよかったな。まさか浜さんが参加しているとは思わなかったから」

まさか?
それはどういう意味だろう。

栗拾いは私に似合わないとか?
若い子に混じって変だとか?

そのあたり突っ込んで聞いてみたいけど、自分で自分の傷に塩を塗り込む必要もないからやめた。

「先生はゆっくり休めました?」

「ゆっくりはできなかったけど、車で出掛けられたから休日を有効活用できたかな。ここのホテルが車を貸してくれるって知っていたら僕ももっと早く使ったんだけどね」

先生も昨日は余程楽しいお出かけだったのか、満面の笑みを浮かべる。

「先生もお出かけを?」

「そうなんだ。車のボディに大きくここのビジネスホテルの名前が入った軽の営業車を借りてね」

想像するとちょっと笑える。
この大きな身体を折り曲げるようにしてホテルの名前入りの軽自動車を運転したんだろうか。

どちらに?と聞こうとしてやめた。
もしかして曽根田さんとデートだったかもしれない。
プライベートに踏み込むのはやめた方がいい。


「浜さん、ちょっといいですか」

事務の佐野くんがスマホ片手にやってきた。

「変更連絡ですか?」

「今からオプション検査を追加したいそうなんですけど。電話替わってもらっていいですか」

「わかりました。私が対応します」

電話を受け取り、受診者さんの希望を聞いてみると当日変更できるものだった。

血液検査の項目追加と腹部エコー検査の追加。こちらで登録し担当者には伝えるが、万が一漏れがあると困るので会場での受付の際にひと声かけてもらうようにお願いした。
当日になって追加変更の連絡を受けることも多い。
現場で頼まれることも多いから連絡、情報共有は非常に大切。


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