あのねあのね、



「も、もし……」


「ん?」


「もしも、夕凪くんの使ってるもので、捨てるようなものがあれば…、そ、それが欲しいですっ」


「はぁ?そんなん貰ってどうすんだよ」


「た、大切に、します……」


「…っ……」


夕凪くんの目が少し、大きくなる。


やはり図々しい、だろうか。
気持ち悪いと思われてしまったかな。


「…具体的には?どんなのがいいわけ?」


「えーっと……ふ、古くて使えないペンとか…、捨てようと思ってた消しゴムとか」


「なんで全部捨てる寸前なんだよ」


「や、やっぱり、いいです。本当に……目に見えないものまで、たくさんもらっているので」


「……ほんっと、欲がねぇな」


そう言って、呆れて溜息を吐く夕凪くんもカッコいい。


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