あのねあのね、
「あの、その代わりに、と言ったらおかしいですけど……また、話してもいいですか…?」
自分でもよくわからないのだが、夕凪くんの優しさを感じるほど、自分の話がしたくなるのだ。
「どうぞ?」
「…わ、私、幼稚園の頃、歩いて大きめの公園に行っていたんです。遠足で……」
「うん」
「……その公園まで、すごい長い道を、必死で歩かなきゃいけなくて…、毎回ヘトヘトでした……。で、でも実際はそんなこと全然なくって……今の自分にとっては、そんなに遠くない、道のりなんです」
「…それで?」
「それで…、自分の体が大きくなったから、遠くなくなったんだって、気づきました……」
私のこんなしょうもないどうでもいい話を、今日も夕凪くんは拒否せずに聞いてくれている。