あのねあのね、
「カメコといると無性になんかしてやりたくなる」
「……っ?」
「俺の使ってるもんって、身につけてんのでもいんだろ?」
そう言って鞄の中から、今日取り外したのであろうアクセサリーを、ジャラッとテーブルに広げた。
先ほど自分が言ったことを思い出す。
"夕凪くんの使ってるもので捨てるようなものが欲しい"と。
(でもこれは、捨てるようなものじゃ……)
「ピアスは無理だしな……ネックレスでもいいっちゃいいけど」
夕凪くんはぶつぶつと唱えながら「あ……」と、ひとつのシルバーアクセを手に取る。
それは夕凪くんがほぼ毎日のようにつけていたものだった。ピアスの一種だと思っていたけど……
「カメコ、右耳。貸して」
「っ、な、なにを……?」
「つけるだけだから。痛くしない」
その優しい声に誘われるように、右耳を夕凪くんに向ける。当たり前に心臓のドキドキが止まらない。
そうすると、何かで耳を挟んだような感触がした。