あのねあのね、
「それを仁が拒むとまた喚いておかしくなって、挙句の果てに……自殺するって、包丁を自分に向けて脅したのよ…っ」
「……っ…」
「まだ中学生の仁にとって、とてもショックで、恐怖だったと思う……」
そう言った一華さんの声は、少しだけ震えていた。
これでもかというほどの、夕凪くんに襲った苦痛を想像する。
(苦しいなぁ……ずっと、苦しかっただろうなぁ……)
「それから仁は荒れて、暴力的になっていった。誰も寄せ付けず、簡単に人を殴って、自ら孤独になってったの……そばに理解してくれる幼なじみの子もいてくれたけど、仁の目はずっと死んだような目をしてたな…」
「それで我慢ならなくなった俺が、仁をぶん殴ったんだよな」
「……っ!?」
突然の北風先生の発言に驚いて目を見開く。
当の本人はあっけらかんとした表情で言葉を続けた。