あのねあのね、



「ちったぁ目覚めるかと思って。現実に呼び戻すついでに。あれは相当効いたろうなぁ……」


「…………」


泣いていた目に乾きを感じるほど、呆然とする。
そんな私を見て一華さんが「この人元ヤンなの」と付け加えた。


「この人がね、仁にとりあえず黒霧に来いって言ったの。女が嫌なら男子校は打ってつけだし、そこでは好きに暴れ回っていいからって」


「いや、実際は好きに暴れ回られちゃ困るんだけどな。とりあえずあいつには居場所がどこにもなかったから、逃げていい場所をまず作ってやりたかったんだ」


あぁそうか、と納得する。
夕凪くんが北風先生に対する空気は、信頼のようなものだった。


その理由は、北風先生が夕凪くんに逃げる場所を与えてくれた味方だからだったんだ……


< 181 / 285 >

この作品をシェア

pagetop