あのねあのね、
「なち、なーち」
優しく名前を呼ばれて目が覚める。
「そろそろ家送る。外暗くなるの早いから」
ハッとして飛び起き、部屋に置かれていた時計を見ると、時刻は16時を過ぎていた。
今日は夕凪くんのバースデーお祝いのリベンジをしにきたのに、私のほうがたくさん幸せにされて甘やかされた挙句、彼のベッドまで運んでもらって眠ってただなんて……
(……ありえない。ほんと、私何しにきたんだろう……彼女失格だ)
「ごめん、夕凪くん……お祝い、何もできなかった。ベッドも使っちゃってごめん……」
「……いや」
「あぁっ、せめてプレゼント!渡したい……!」
勢いよくベッドから出て布団を正すと、彼の部屋からリビングに向かう。
そして自分のバッグの中から小さな紙袋に入ったプレゼントを取り出した。
「夕凪くん、誕生日おめでとうっ」
「ん、ありがとう。開けていい?」
「…うん」
夕凪くんがプレゼントを紙袋の中から取り出すと一緒に手紙も出てくる。