あのねあのね、



一見冷たいように見える綺麗な目は、徐々に大きくなっていく。


「近くね…?」


「はっ、!ごご、ごめんなさいっ」


慌てて距離をとれば、ストンとベンチに尻餅をついた。


「…マジかよ……」


(私のアホ〜〜……調子に乗りすぎだよ)


羞恥心からか、心拍数が上がっているからか、すごく顔が熱かった。きっと赤い。
さすがにもう夕日のせいにはできないな……


「…………まあ、カメコが俺に言葉で感謝を伝えたい?ってことはこのメッセージから圧感じる」


(圧…!そんなつもりはっ!)


「ただ、今朝俺といたことで学校のヤツに目つけられてて、カメコが危険なことに巻き込まれでもしたら俺のせいになんだわ」


「…………」


夕凪くんは正しい。もしまた夕凪くんと一緒にいるところを生徒に見つかってしまえば、謂れのないことを言われてしまうのは夕凪くんのほうだから。


だからこのまま、ただ見つめていた昨日までのように、元に戻るほうがいい……夕凪くんのために。


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