あのねあのね、

それなのに、私はブンブンと首を横に振ってしまう。


自分がここまで図々しいなんて思わなかった。
この気持ちがなんなのか、気づいてしまった。


「最後まで聞けよ」


「……っ」


「だから、なんかあった時はすぐ俺に連絡な。約束できるか？」


「……え……」


「何。文句ある？」


「いえ、そうじゃなくて……っ、もう私に、話しかけるなという意味では……」


「あ？……あぁ、確かにもう人目につく場所で喋んの無理だけど、カメコがありがとうって言いたいのって俺なんだろ？こんだけのこと聞いといて、はいさよならーは酷くね？」


「……！」


「言葉にできるまで待ってるし、なんならそれまでに俺に慣れさせるつもりだから。カメコのこと」


夕凪くんはそう言って、小さく笑う。


「…っ…、いいん、ですか……？」


白胡桃生である上に、夕凪くんの隣に相応しくない私といること。会話すること。


全部が夕凪くんの迷惑になってしまうかもしれないと、今更理解した。
それでも夕凪くんは、ただ私が伝えたいというありがとうを聞くためだけに、待ってくれると言う。