あのねあのね、
(な、なんで…?)
だって送るなんて絶対煩わしい。
どっちみち駅まで夕凪くんも戻らないとだから、そう言ってくれてるのかもしれないけど。
夕凪くんの強めな視線を向けられる耐性がなかったため、心臓が飛び出るかと思った。
「俺といる時は俺の視界の中にいろ。じゃないと守れない」
「っ、!?」
キレ気味の夕凪くんは、眉間に力が入っている。
夕凪くんは一体何を言っているの…?守るって……?
「わかりましたか」
「は、はい……」
そう返事をするが、本当は何もわかっていない。
ただ夕凪くんのカッコよさとオーラに圧倒されてしまい、体が縮こまった。
そうして言われるがまま、さほど遠くない駅までの道を歩く。
夕凪くんは学生服の下に着ていたパーカーのフードを被り、大通りに出ると距離をあけ、後ろからまるで見守るように送ってくれた。