Cherry Blossoms〜潜入捜査官と天才医師〜

いくら季節が冬とはいえ、ずっと野菜を置いておくのはまずいだろう。時期が経てば種類によっては傷んでしまうかもしれない。

「……鍋でも皆さんでしましょうか」

桜士の提案に庄司は「いいな！」と乗り気になり、一花もホッとした顔を見せる。ヨハンは少し不服そうだったものの、鍋を準備し始めた。

桜士も準備をしようとしたのだが、庄司と一花が「主役だから」と言われ止められてしまった。そのため、座って鍋ができるのを待っている。

（よし、変なものは入れられていないな……）

潜入捜査官は人から出されたものには人一倍注意を払わなくてはならない。毒などを仕込まれている可能性があるからだ。疑うのはいつものこと。だが、今回は胸の奥が何故か痛くなった。

（どうして、疑うことがこんなに悲しいんだ？いつもしていることなのに）

疑問を感じながら待っていると、「お待たせ〜！」と言いながら庄司が出来立ての鍋を持ってくる。野菜と肉がたっぷりのミルフィーユ鍋だ。