混ざリあう。

⁑きゅん、じゃない。どきん。

これはいつかの夜の事。


スーパーで、たまたまタイプの顔の店員さんがいた。


イケメンだ!ラッキー!なんて、少し幸せな気持ちでレジに進んでいった。


でも、いざ目の前に来ると恥ずかしくてなかなか前を向けない。


--- お支払いは何になさいますか?、


確か、彼はそう言ったと思う。


咄嗟に言葉が出ない私は、小さな声で「っ、現金で..」と答えた。


彼の眉毛が、少し下に下がったのと共に、


ふわっ、いきなり視界が柔らかそうな茶色に包まれた。


そう、私の小さな声が聞き取れなかった彼が、私の目線まで背丈を合わせて、再度聞き取ろうとしてくれていた。


「すみません、もう1回よろしいですか?」


その声で、はっと我に帰る。


「現金でお願いします。」
今度は、はっきりと聞こえる声、で伝える。


一瞬だったけど、


心臓がどきんっとするってこういう事なんだって思った。


人に恋する瞬間を思い出した。


そんな出来事だった。

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