離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
(日本よりはお得といっても、そもそも桁の違うブランドだけど……)

 恐れ多くて手を出せずにいる私に桔平さんは優しい笑みを浮かべる。

「俺とペアなんだ。もらってくれるか?」
「ペア?」
「そう。あらためて夫婦として歩んでいく記念に」

 なんだかジーンときてしまう。桔平さんが自分と夫婦として生きていこうと思ってくれていることが本当にうれしい。

「あ、ありがとうございます。うれしくて……胸がいっぱいです」
「美紅に似合うと思った」

 言いながら桔平さんは箱を開けてくれる。シルバーとローズゴールドのおそろいの時計。ビジネス使いもできそうなシンプルなデザインだけど、さすがの高級感だ。

「うわぁ。すごく素敵ですね!」

 桔平さんが私の手を取ってカチッと時計をはめてくれる。手首に巻くとつけ心地のよさにますます感動する。はしゃぐ私を見て桔平さんは安堵の表情を見せた。

「喜んでもらえてよかった。一目惚れしてすぐに購入を決めてしまったんだが、あとになって美紅と一緒に選ぶべきだったかと少し心配していたんだ」

 桔平さんは照れたような顔で苦笑した。

「君が振り向いてくれたことがうれしくて……最近の俺は舞いあがりすぎているかもしれない。目に余るようだったら言ってくれ」
< 115 / 183 >

この作品をシェア

pagetop