離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「最低とは言いませんが……桔平さん、私と同じ時間に在宅しないようにしていましたよね?」

 二度目のプロポーズ以降、思った以上に彼は自宅にいられるのだなと実は驚いていた。離婚前提だった一年間はほとんど顔を合わせなかったのに――。

「あれは地味に心にグサリときました。顔も見たくないほど嫌われているのかと」

 桔平さんは申し訳なさそうに言葉を絞り出す。

「俺がいないほうが君はゆっくりできるかと思っていたんだよ。だから帰れるスケジュールの日も自費でホテルステイにしたり」
「……すごく寂しかったんです」

 私は素直な気持ちを打ち明け彼の背中に回した手に力を込めた。

「あと、もうひとつ理由がある」

 そう言った彼の声は一段低くなりやけに艶めいて聞こえた。私が彼の胸から顔を離して見あげると、桔平さんは私の顎に手をかけた。

「家にふたりきりでいたら俺の理性が崩壊しそうだったから。美紅が誰を思っていても無理やり自分のものにしてしまいそうで怖かったんだ」

 私を見つめる桔平さんの瞳に熱い火がともる。この眼差しに射抜かれると私の身体も甘く疼き出す。

「今もギリギリでこらえているけど……もう限界かな」

 桔平さんの顔が近づいてくる。どれだけアップで見ても完璧に美しいことにちょっと嫉妬してしまいそうだ。
 唇が重なる。甘くて激しい彼のキスにこたえようと私も夢中になる。

「はぁっ」
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