離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
 甘い吐息とともに私の唇から銀糸がこぼれ落ちた。桔平さんはそれをぺろりと舐め取りながら煽情的な笑みを浮かべて言う。

「明日のシフトは聞かない。聞いたところでストップしてやれそうにないから」
「――あっ」

 彼の大きな手が私の後頭部を包みこみまた唇を奪われた。互いの熱を交換し合うような深いキス。

(私より桔平さんのほうが……長時間フライトだったのに)

 帰宅したその夜くらいはゆっくり身体を休めたほうがいいとわかっているのに言えなかった。わたし自身もどうしようもないほど桔平さんを求めている。

「ここでいい? 今すぐ美紅が欲しい」

 私をソファに組み敷きながら彼は聞く。表情も声音も背中がぞくぞくするほどに色っぽい。

(パイロット姿の桔平さんとは別人みたい)

 制服に身を包んでいるときの彼は硬派でストイックな雰囲気だ。そんな彼も最高にかっこいいけれど……私を抱くときの彼はまた全然違った顔を見せる。

「ひゃっ」

 桔平さんが私の首筋を強く吸いあげる。

「ん、桔平さん。そんなにしたら跡が……」

 私は身をよじって逃げようとするけれど、彼にがっちりと肩をホールドされていてできない。

「大丈夫。スカーフで隠れる位置だから」
「でもロッカールームでの着替えのときに……」

 誰かに見つかったら恥ずかしい。そう訴えるけど彼は聞く耳を持たない。
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