離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「それは問題ないだろう。美紅は俺の奥さんなんだから。夫婦円満でなにが悪い?」

 首筋、鎖骨、胸元。彼は私の肌に熱をともしていく。

(予想外に独占欲が強くて、とろとろに甘くて……溺れてしまいそう)

 彼の指先が、熱い舌が、私の本能をかきたてる。あっという間に桔平さんしか見えなくなってしまう。
 今夜の彼はとても激しくて幾度も熱を注がれた私はぐったりとソファにもたれかかった。そんな私を桔平さんが優しく抱きあげてくれる。

「寝室まで運ぶから今夜はこのまま寝てしまおうか」
「――はい」

 桔平さんに腕枕をしてもらった状態ではベッドに横になる。私を背中から包み込むようにして彼が身体を寄せてくる。

「無理させすぎたかな?」
「えっと……し、幸せでした」

 恥ずかしさに消え入りそうな声で私が答えると、彼はふっとかすかな笑みをこぼした。

「よかった」
「ずっと憧れていた桔平さんとこうして過ごしているなんて夢みたいです」
「気になっていたんだが、美紅は見合いの前から俺を知っていたのか? 時々そんな口ぶりで話すから」

 彼の質問が意外すぎて私はあんぐりと口を開けてしまった。

「うちのCAで桔平さんを知らない人はいないと思いますよ」

 御曹司で最年少機長、おまけにこの美貌。JG航空内どころか他社のCAの間でも有名人だと聞く。

(前から思っていたけど桔平さんって自分のモテモテぶりに無頓着よね)
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