離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
私はちょっと笑いながら続ける。
「私もみんなと一緒で入社当時から憧れていました。もちろん憧れで終わると思ってましたけど」
彼に恋するたくさんの女性のうちのひとりでしかない。そう思っていたのに人生はなにがあるかわからないものだ。
(本当は入社前から桔平さんを知っていたことがひそかな自慢だけど、それはこのまま秘密にしておこうかな)
私が十六歳のときの出会い。テーマパークデートのときに桔平さんの名前は伏せて話したけれど、彼はやっぱり自分のこととは思っていないようだった。今さら伝えても桔平さんに「思い出せなくて申し訳ない」と思わせてしまうだけだろう。
(それに八年も片思い……は我ながら執念深くてちょっと怖いし)
あの思い出は自分の胸にしまっておこうと決めた。それからふと思いついて尋ねてみた。
「桔平さんはあのお見合いで初めて私を知ってくれたんですよね?」
「まぁ……そうだな。父が親しくしている慶一郎さんの姪が入社するという話自体は聞いていたが」
私は顔だけ振り向いてちょっと真面目な顔で彼を見る。
「どうして私と結婚してもいいと思ってくれたんですか? もちろん慶一郎おじさんの社長就任は前提にありましたけどお義父さんは決して強制はしませんでしたし」
「私もみんなと一緒で入社当時から憧れていました。もちろん憧れで終わると思ってましたけど」
彼に恋するたくさんの女性のうちのひとりでしかない。そう思っていたのに人生はなにがあるかわからないものだ。
(本当は入社前から桔平さんを知っていたことがひそかな自慢だけど、それはこのまま秘密にしておこうかな)
私が十六歳のときの出会い。テーマパークデートのときに桔平さんの名前は伏せて話したけれど、彼はやっぱり自分のこととは思っていないようだった。今さら伝えても桔平さんに「思い出せなくて申し訳ない」と思わせてしまうだけだろう。
(それに八年も片思い……は我ながら執念深くてちょっと怖いし)
あの思い出は自分の胸にしまっておこうと決めた。それからふと思いついて尋ねてみた。
「桔平さんはあのお見合いで初めて私を知ってくれたんですよね?」
「まぁ……そうだな。父が親しくしている慶一郎さんの姪が入社するという話自体は聞いていたが」
私は顔だけ振り向いてちょっと真面目な顔で彼を見る。
「どうして私と結婚してもいいと思ってくれたんですか? もちろん慶一郎おじさんの社長就任は前提にありましたけどお義父さんは決して強制はしませんでしたし」