離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
 バックヤードならともかくターミナル内のカフェなら人も多いしCA仲間に見つかることもないだろうと思っていたけれど、彼女がこんなにも人目を惹く女性だったとは……うわさ以上だ。

「あなたが美紅さんね」
「はい」

 どこかさげすむような目で彼女は私を見る。

「カフェに入ってからもどこにいるのかと捜しちゃったわ」
「あ、すみません。奥まった席にいたので……」

 どんな話かわからないが互いに空港は職場でもあるので人目につきにくい席がいいかと思ったのだが――。小柴さんは含み笑いをする。

「そういう意味じゃなくて、美紅さん全然CAっぽいオーラがないから。いつもは同業者ってなんとなくわかるんだけど」

 ようするに私がCAらしくないと言いたいらしい。

(ものすごく美人だけどあんまり感じはよくないなぁ)

 苦手なタイプだった。早めに切りあげたいなと思い私は向かいに腰をおろした彼女に話を促す。

「それで私になにか?」
「えぇ。大門機長の奥さまにお願いがあって」

〝大門機長〟を意味ありげに強調して彼女は言った。

(あぁ、やっぱり……桔平さんにかかわることなんだ)

 夕菜も当然それを心配していたし自分でもある程度の覚悟は持ってこの場に来た。
でもそれでも……動揺は隠せない。

(元恋人のうわさは本当だったんだ。この女性は……桔平さんがかつて愛した人)
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