離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
尊はあきれた顔で首をすくめる。
「化粧、崩れ気味だぞ」
「嘘?」
CAはメイクにも厳しい規定があり会社の顔として清潔感をキープするのも大切な仕事なのだ。でも、忙しい日はメイク直しの時間すら取れないこともままある。
「今日のチーフは優しいからよかったけど、厳しい人なら絶対に指摘されてたな」
尊に苦笑され私は大きく肩を落とす。
「今日の仕事ぶりは七十点くらい取れたかな~と思ったのに」
メイク崩れなんて基本的なところがダメではまだまだだ。
「まぁ、でも一年目に比べたら成長してると思うぞ」
「――ありがと」
入社当時の私のあだ名は『身長採用の子』だった。高身長以外になんの取り柄もないという意味だ。実際、自分でも高倍率のJG航空のCAは記念受験のつもりでまさか合格できるとは思ってもいなかった。『身長採用』はまだマシなほうで『叔父さんのコネ』という陰口も何度か聞いた。慶一郎おじさんに迷惑をかけないためにも、ほかのみんなに比べたら劣っていた英語も猛特訓して今はようやく人並みに近づけたかなというところだ。
「美紅はやっぱり浜名社長の影響でCAを目指したの? 彼、元パイロットなんだろ?」
「うん。憧れたきっかけはそう」
慶一郎おじさんがパイロットをしていた頃、彼の操縦する飛行機を見学するためよく両親に空港に連れていってもらった。
「化粧、崩れ気味だぞ」
「嘘?」
CAはメイクにも厳しい規定があり会社の顔として清潔感をキープするのも大切な仕事なのだ。でも、忙しい日はメイク直しの時間すら取れないこともままある。
「今日のチーフは優しいからよかったけど、厳しい人なら絶対に指摘されてたな」
尊に苦笑され私は大きく肩を落とす。
「今日の仕事ぶりは七十点くらい取れたかな~と思ったのに」
メイク崩れなんて基本的なところがダメではまだまだだ。
「まぁ、でも一年目に比べたら成長してると思うぞ」
「――ありがと」
入社当時の私のあだ名は『身長採用の子』だった。高身長以外になんの取り柄もないという意味だ。実際、自分でも高倍率のJG航空のCAは記念受験のつもりでまさか合格できるとは思ってもいなかった。『身長採用』はまだマシなほうで『叔父さんのコネ』という陰口も何度か聞いた。慶一郎おじさんに迷惑をかけないためにも、ほかのみんなに比べたら劣っていた英語も猛特訓して今はようやく人並みに近づけたかなというところだ。
「美紅はやっぱり浜名社長の影響でCAを目指したの? 彼、元パイロットなんだろ?」
「うん。憧れたきっかけはそう」
慶一郎おじさんがパイロットをしていた頃、彼の操縦する飛行機を見学するためよく両親に空港に連れていってもらった。