離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「あれはガツンときたな。君がほかの誰かの花嫁になるところを想像したら……一睡もできなくなってさ」
「気づくのが遅すぎね。優秀なくせに鈍いんだから」
のろけているようにしか見えないふたりを横目に私はがっくりと脱力した。
「じゃ、じゃあ慶一郎おじさんの悩みは会社のことじゃなかったの? で、でも反対勢力があれこれしているのは本当なのよね?」
彼は鷹揚にうなずく。
「大企業に派閥争いはつきものだ。むしろ誰も俺に文句を言えない独裁状態になっていたらそのほうが不健全だろう? そもそも俺は別に長く社長をしたいとも思っていない。俺より支持を集める人間が出てきたらいつでも椅子を譲るつもりだ」
茜子さんも余裕の笑顔だ。
「うちのお店は繁盛してるし、もしそうなったら慶一郎さんもうちで働けばいいわ。一緒にいられる時間が増えて私はそのほうが幸せかも!」
「今からでも料理人を目指せるかなぁ」
「慶一郎さんは器用だもの。大丈夫よ」
見ているこっちが恥ずかしくなるほどラブラブぶりだった。
(でも安心した)
反対勢力など彼の敵ではなさそうだし……たとえどんな状況になっても慶一郎おじさんはちゃんと茜子さんと幸せになれる。
「美紅ちゃん。もう遅いし今夜は泊まっていくでしょう?」
「いえいえ。お邪魔虫になりたくないので帰ります」
そう言って席を立とうとする私を茜子さんが引き止める。
「そんなのダメよ。美紅ちゃんから慶一郎さんの弱点とかいろいろ聞きたいもの~」
茜子さんの押しに負けて結局その夜は泊めてもらうことになった。
「気づくのが遅すぎね。優秀なくせに鈍いんだから」
のろけているようにしか見えないふたりを横目に私はがっくりと脱力した。
「じゃ、じゃあ慶一郎おじさんの悩みは会社のことじゃなかったの? で、でも反対勢力があれこれしているのは本当なのよね?」
彼は鷹揚にうなずく。
「大企業に派閥争いはつきものだ。むしろ誰も俺に文句を言えない独裁状態になっていたらそのほうが不健全だろう? そもそも俺は別に長く社長をしたいとも思っていない。俺より支持を集める人間が出てきたらいつでも椅子を譲るつもりだ」
茜子さんも余裕の笑顔だ。
「うちのお店は繁盛してるし、もしそうなったら慶一郎さんもうちで働けばいいわ。一緒にいられる時間が増えて私はそのほうが幸せかも!」
「今からでも料理人を目指せるかなぁ」
「慶一郎さんは器用だもの。大丈夫よ」
見ているこっちが恥ずかしくなるほどラブラブぶりだった。
(でも安心した)
反対勢力など彼の敵ではなさそうだし……たとえどんな状況になっても慶一郎おじさんはちゃんと茜子さんと幸せになれる。
「美紅ちゃん。もう遅いし今夜は泊まっていくでしょう?」
「いえいえ。お邪魔虫になりたくないので帰ります」
そう言って席を立とうとする私を茜子さんが引き止める。
「そんなのダメよ。美紅ちゃんから慶一郎さんの弱点とかいろいろ聞きたいもの~」
茜子さんの押しに負けて結局その夜は泊めてもらうことになった。