離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「沖野コーパイのことはどうしますか?」

 彼と小柴さんのしたことは悪質すぎる嫌がらせだとは思うが会社に報告するようなことでもないだろう。桔平さんはどうおさめるつもりだろうか。

「同期で一緒にがんばってきた仲間ではあるから……公にはせず俺から話をしてみる」

 小柴さんに対してはあきれ果てているだけだった桔平さんも沖野コーパイには思うところがあるようだ。少しつらそうな顔でそんなふうに言った。
 それから、桔平さんは手招きで私を呼ぶ。彼に促されて私も隣に座った。私の手をそっと握って彼は言う。

「もし小柴美玲からまた連絡があっても無視していいから。かかわるとロクなことにならない」

 誰に対しても公平な彼がここまで露骨に嫌悪感をあらわにするのは珍しい。

「桔平さん。小柴さんのこと苦手なんですね」
「――あの手の女を得意に思う男なんてこの世にいるか?」

 真顔でそんなことを言っている。私はクスリと笑みをこぼす。

「なんで初めからきちんと桔平さんに聞かなかったんだろう? 私、ふたりが過去に恋人だったといううわさを鵜呑みにしちゃっていて」

 桔平さんの子じゃなかったどころか、恋人でもなかったとは思ってもいなかった。

「俺があんな女と付き合ってるって、いつからうわさになってたんだ?」

 心外そうに彼はぼやく。
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