離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
 私は彼の背中に腕を回して強く抱きついた。体勢を変えながら彼は私のなかに侵入してくる。

「やっ、はぁ」

 彼に突きあげられるたびに自分のものとは思えない嬌声がこぼれた。昂るものを抑えようと私は小刻みに身体を揺らす。
 小悪魔な笑みで桔平さんはささやく。

「まだダメ。今夜は一緒がいいから、もう少し我慢して」
「あっ! で、でもっ」

 桔平さんの首に回していた私の手に力がこもる。彼はクスリと笑う。

「もう無理?」

 私はコクコクとうなずく。このまま深いところに連れていってほしいと思った。淫らで甘いふたりきりの世界へ――。 

「いいよ」
 
 甘い余韻の残る身体で私たちは肩を寄せ合う。

「身体は大丈夫? 悪い、無理をさせすぎたよな」
「いえ……むしろいつも私ばかり気持ちよくなって……」

 桔平さんはどうなんだろう。ちょっとだけ不安になってくる。私の言いたいことを察したのだろう。彼は幾度か目を瞬いたあとでふっと噴き出すように笑う。

 彼は大きな手を私の頬に添えて極上の笑みを浮かべた。

「君はなにも知らないんだな。さっきまでの美紅の顔が、声が、どれだけ俺を昂らせるか。今だって、そんなかわいい表情を見せられるとまた火がつきそうになるのに」
「桔平さん……」
「美紅。ひとつだけ聞いてほしいことがあるんだ」

 なんだろうと私は彼を見あげる。桔平さんは苦笑して続けた。
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