離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
断然に大きいのはその不安だ。なぜかといえば、先ほどの誓いのキス。間近で見ていた牧師さん以外はきっと誰も気がついていないだろうけど……桔平さんと私の唇はギリギリのところでぶつからなかった。
(リップが落ちないように気を使ってくれたとか?)
精いっぱいポジティブなことを考えてみたけれど無理があることは自分が一番よくわかっている。
(誓いのキスを寸止めなんて聞いたことないし)
熱い一夜なんて待っていないこと、心のどこかでもう気がついていた。
桔平さんはネクタイの結び目に指をかけながら私に声をかける。
「おつかれさま。式の準備は浜名にばかり負担をかけて悪かったな」
緩んだネクタイの奥に見える鎖骨が色っぽくて直視できない。
「いえ。桔平さんはお忙しいですし、それにホテルのプラン通りだったので私も特になにも……」
スピード婚だったので特段のこだわりもないオーソドックスな式と披露宴を行った。プランナーさんは非常に優秀で私は指示通りにいくつかの作業をこなした程度だ。
「そう言ってもらえるとありがたい。シャワー、先にどうぞ」
なにもないだろうと思ってはいてもシャワーという単語に私の肩がびくりと跳ねた。
「は、はい」
声が上擦った理由を桔平さんは察したのだろう。苦笑交じりに言った。
「心配するな。俺はリビングのソファで眠るから君は寝室でゆっくり休んでくれ」
「あ……」
(リップが落ちないように気を使ってくれたとか?)
精いっぱいポジティブなことを考えてみたけれど無理があることは自分が一番よくわかっている。
(誓いのキスを寸止めなんて聞いたことないし)
熱い一夜なんて待っていないこと、心のどこかでもう気がついていた。
桔平さんはネクタイの結び目に指をかけながら私に声をかける。
「おつかれさま。式の準備は浜名にばかり負担をかけて悪かったな」
緩んだネクタイの奥に見える鎖骨が色っぽくて直視できない。
「いえ。桔平さんはお忙しいですし、それにホテルのプラン通りだったので私も特になにも……」
スピード婚だったので特段のこだわりもないオーソドックスな式と披露宴を行った。プランナーさんは非常に優秀で私は指示通りにいくつかの作業をこなした程度だ。
「そう言ってもらえるとありがたい。シャワー、先にどうぞ」
なにもないだろうと思ってはいてもシャワーという単語に私の肩がびくりと跳ねた。
「は、はい」
声が上擦った理由を桔平さんは察したのだろう。苦笑交じりに言った。
「心配するな。俺はリビングのソファで眠るから君は寝室でゆっくり休んでくれ」
「あ……」