離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
パイロットは専門職だ。年を重ねたら引退するという職業ではなく退職するその日まで現役という人が大多数だ。とはいえ、パイロットから経営幹部になったケースもないわけではなく……お義父さんは桔平さんに自分の跡を継いでほしかったようだ。
「俺のワガママだ。だけど……パイロット以外の道は考えられない」
桔平さんの希望はできるだけ長く空を飛び続けること。そこで、桔平さんに代わる後継者に選ばれたのが慶一郎おじさんだったのだ。
姪の贔屓目を差し引いても、慶一郎おじさんは優秀な人で立派な社長になれると私は信じているけれど……幹部のなかにはそう思わない人もいたらしい。
慶一郎おじさんはもともと外資系航空会社でパイロットをしていてJG航空へは中途入社だ。生え抜き主義の幹部は彼が転職組であることが気に食わなかったようだ。そういう声を抑えるためにお義父さんが考えた案が彼の姪である私と桔平さんの結婚だった。創業一族である大門家の親族になれば後継者として文句ないだろうという理屈だ。
「大門家の勝手な都合に浜名を巻き込んで申し訳なかったと思っている」
「いえ、謝ったりしないでください……」
こういう事情からの恋愛愛情はかけらもない結婚だったので、彼は私を『浜名』と名字で呼び続けている。
(職場では旧姓で通しているから間違いではないけど。でも、慶一郎おじさんのことは『慶一郎さん』なのにな)
「俺のワガママだ。だけど……パイロット以外の道は考えられない」
桔平さんの希望はできるだけ長く空を飛び続けること。そこで、桔平さんに代わる後継者に選ばれたのが慶一郎おじさんだったのだ。
姪の贔屓目を差し引いても、慶一郎おじさんは優秀な人で立派な社長になれると私は信じているけれど……幹部のなかにはそう思わない人もいたらしい。
慶一郎おじさんはもともと外資系航空会社でパイロットをしていてJG航空へは中途入社だ。生え抜き主義の幹部は彼が転職組であることが気に食わなかったようだ。そういう声を抑えるためにお義父さんが考えた案が彼の姪である私と桔平さんの結婚だった。創業一族である大門家の親族になれば後継者として文句ないだろうという理屈だ。
「大門家の勝手な都合に浜名を巻き込んで申し訳なかったと思っている」
「いえ、謝ったりしないでください……」
こういう事情からの恋愛愛情はかけらもない結婚だったので、彼は私を『浜名』と名字で呼び続けている。
(職場では旧姓で通しているから間違いではないけど。でも、慶一郎おじさんのことは『慶一郎さん』なのにな)