離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます～旦那様は政略妻への恋情を止められない～

　制服に身を包むとそれだけで気が引き締まり自然と背筋が伸びる。私は鏡のなかの自分の姿をあらためてチェックする。

「うん、今日はいい感じかも！」

　ＣＡのスカーフの巻き方はいくつものバリエーションがあり、ＪＧ航空では巻き方は個人の自由でとくに規定はない。急いでいるときは一番手早くできるリボン巻きにするけれど今日はひと手間かけてカーネーション巻きにしてみた。首元に花が咲いたようでぐんと華やかな印象になる。
　今日は肌のコンディションもばっちりで薔薇色のチークとリップも綺麗に映えていた。昨日は珍しくフライト前のプリブリでの発言を褒められたこともあって、やる気もみなぎっている。

（私ってつくづく単純だな。桔平さんに愛されていることが仕事の自信にもつながっているみたい）

　誤解が解けてあらためて本当の夫婦になろうと約束してからちょうど一週間。桔平さんの甘さは倍増して……言葉にするのがはばかれるほどの溺愛を受けていた。

（ゆうべも――）

　ベッドの上だけで見せる彼の顔を思い出し私は慌てて頭を振る。

（仕事前になに考えてるのよ！）

　頬を軽く叩いて気合いを入れ直してからロッカーを出た。