離婚直前、凄腕パイロットの熱烈求愛に甘く翻弄されてます~旦那様は政略妻への恋情を止められない~
「お礼を言うのはこちらのほうです。あのまま黙っていたら俺は医師免許を持つ資格のない人間に成りさがっていました。かといって臨床経験の乏しい自分がひとりで適切な判断ができたとも思えないし無線通信であっても実績ある医師に相談できたことは心強かったです。――あなたのおかげです。ありがとうございました」
握手を求めた彼の手を握り返す。彼を見送ったあとで小林がやや興奮した様子で俺を称賛してくれた。
「さすがは大門機長ですね。倒れられたお客さまの奥さまから『JG航空の便でよかった』とのお言葉をいただいて私たちも誇らしい気分でした」
「いや、医師ふたりの尽力のおかげだ。もちろん医師を探してくれた君たちの功績でもある」
無線通信を使ってほかの機体と協力し合うことはよくあることで褒めそやされるほどの発想ではない。こちらにも通信可能な機体にも医師が乗ってくれていたことが幸運だっただけだ。
しかし俺が謙遜したことで彼女はますます尊敬の眼差しを向けてくる。隣の沖野の顔がよりいっそう不機嫌になったことに気がつき俺は彼に言葉をかける。
「沖野もありがとう。操縦を安心して沖野に任せられたからこそ俺は病人の対応に回れた」
これは決してお世辞ではない。もし副操縦士が新人だったら俺は操縦補佐を優先せざるを得なかったかもしれない。
「……どうも」
握手を求めた彼の手を握り返す。彼を見送ったあとで小林がやや興奮した様子で俺を称賛してくれた。
「さすがは大門機長ですね。倒れられたお客さまの奥さまから『JG航空の便でよかった』とのお言葉をいただいて私たちも誇らしい気分でした」
「いや、医師ふたりの尽力のおかげだ。もちろん医師を探してくれた君たちの功績でもある」
無線通信を使ってほかの機体と協力し合うことはよくあることで褒めそやされるほどの発想ではない。こちらにも通信可能な機体にも医師が乗ってくれていたことが幸運だっただけだ。
しかし俺が謙遜したことで彼女はますます尊敬の眼差しを向けてくる。隣の沖野の顔がよりいっそう不機嫌になったことに気がつき俺は彼に言葉をかける。
「沖野もありがとう。操縦を安心して沖野に任せられたからこそ俺は病人の対応に回れた」
これは決してお世辞ではない。もし副操縦士が新人だったら俺は操縦補佐を優先せざるを得なかったかもしれない。
「……どうも」