雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
バイクで移動すること30分。
怜央達のアジトは都会から少し離れた場所にある、大きな倉庫だった。
暴走族が倉庫に集まるって本当だったんだ。
(夜な夜な暴走族が出てくる漫画を読み漁った人)
入り口付近には数十台のバイクが停めてあり、ここにそれだけの人数が集まっているということがひと目でわかる。
「行くぞ」
「あ、うん……!」
見るからに重厚感のある扉。
それを怜央が容易く開けると、中にいた人達が一斉に立ち上がった。
「怜央さん!おはようございます」
倉庫内には低い声が響き渡る。
その光景に思わず息を呑んだ。
「瑠佳」
私が萎縮しているのを感じたのか、怜央は私の肩をそっと抱く。
すると、彼らの視線は怜央から私へと移動した。
見られてる。頭からつま先まで。
姫に相応しいかどうか、まるで品定めでもされているような気分だ。
「おい、あんまジロジロ見んな」
怜央の一言で、私に集中していた視線が一斉に散らばる。
総長の言葉は絶対なのだろう。
怜央は私の肩を抱いたまま歩き続けると、奥にあった黒のソファーへと腰を下ろした。
私も隣に座るよう指示されて、その場に腰を下ろす。