雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
「瑠佳。話が終わったら家まで送る。それまで冬馬と2階にいろ」
「う、うん」
“紹介”だなんて言うから、てっきり和気あいあいとした場なのだと思っていた。
だけど、私は彼らに姿を見せただけ。
まぁ、立場上その方が助かるんだけど。
怜央との関係を根掘り葉掘り聞かれたら返答に困る。
「瑠佳さん、行きましょう」
冬馬と呼ばれていた男の子はにっこりと笑うと、私を2階にあったソファーへと案内した。
そこからは怜央達の様子が覗える。
「俺、冬馬っていいます。瑠佳さんは怜央さんと同級生ですか?俺は高1っす」
元々、人懐こいのか。
それとも怜央に頼まれたからなのか、冬馬くんはコップにジュースを注ぎながら話を始める。
「うん、怜央とは同じ高校の同級生」
「どうやって付き合うことになったんですか?」
「えっと、屋上に呼び出されて。その……怜央から(バイトの紹介をされた)」
嘘は言っていない。
正しくは、雇用関係になった理由だけど。
「やっぱ怜央さんからですか。てか、俺のが年下だし、瑠佳さんは総長の姫なんでタメ口で喋ってください」
「わかった」
「なんか質問とかありますか?」
「え、質問……?」
「怜央さんにうちのチームの説明とか諸々任されたんで。俺が答えられることなら何でも答えますよ」
なんだ、質問ってそういうことか。
冬馬くんに対する質問なのかと思った。