雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
放課後、冬馬くんから連絡をもらった私は教室で彼の到着を待っていた。
《俺が着くまで学校内に居てください!》
そう念押しをされたからだ。
誰もいない教室の窓を開け、新那が所属しているテニス部の練習を覗く。
「暇だな」
誰もいないと思って口にした言葉。
しかし、その独り言に返事が返ってくる。
「水瀬、誰か待ってるのか?」
声をかけてきたのは担任の柳沢先生だった。
「と、友達を」
他校の暴走族を待ってます。なんて言えない。
怜央と一緒にいることだけでも心配されているのだから。
「時間があるなら雑用頼まれてくれないか?すぐ終わるから」
「……いいですけど?」
私は5分後、この選択を後悔することとなる。