雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
「ねぇ、怜央。冬馬くんって何か罰を与えられたりするの?私が連れ去られたのは、ぼーっとしてたのが原因で」
「だから罰するなってか?」
「……うん」
「その頼みは聞けないな。でも、安心しろ。冬馬は真宙から説教されたあと、護衛方法を叩き込まれるだけだ」
それもなかなかハードなんじゃ?
でも、今後櫻子さんを護るためには必要なことかもしれない。
そう思った私はこれ以上、何も口にすることはなかった。
「そろそろ寝るか」
怜央の家にきてから4時間。
ご飯とお風呂を済ませた私達はリビングでテレビを観ていた。
「……寝ないのか?」
テレビの前から動こうとしない私に首を傾げる怜央。
「ね、寝る!明日も学校だもんね」
「それはサボればよくね」
「よくない!」
普段と変わらない会話をしながらたどり着いた先は、寝室。
もちろん、ベッドはひとつ。
……そうだよね、一人暮らしだもんね。
「怜央はベッドで寝るんだよね?」
「ああ」
「私は?お布団とか貸してもらえるのかな?」
怜央の性格からして床で寝ろとは言わないだろう。
「何言ってんだ?瑠佳もここで寝ればいいだろ」
怜央はそう言うとベッドの左端に寝転んだ。
そして、空いている右側をポンポンと叩く。