雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


「もちろん大丈夫だよ。久しぶりに志「誕生日パーティー?」

新那が話し終える前に話し出す怜央。

……もしかしたら、この2人は相性が悪いのかもしれない。

「瑠佳ちゃんが毎年開く志貴の誕生日パーティーのことです」


『そんなことも知らなかったんですか?』と謎のマウントを取る新那。

「それって俺も行っていいの?」

「いいけど。普通の誕生日パーティーだよ?」

「弟には一度、挨拶しただけだったろ。ちゃんと話してみたいし」

雇われの姫をはじめた数日後、バイト帰りに家まで送ってくれた怜央。
その時、一度だけ志貴と顔を合わせたことがある。

「でも、毎年3人でやってるなら遠慮するけど。弟と会うのは別の機会でもいいし」

「それなら大丈夫。志貴も友達連れてくるんだって。しかも、女の子……彼女かな?」

「え、志貴に彼女?」

「まだわからないけど。今年も志貴のことよろしくね」

当日は新那が志貴を連れ出してくれる。

私が準備をしてる間に、志貴から直接プレゼントのリクエスを聞き、その場で渡してしまうのが新那流だ。

「任せて」

「じゃあ、2人とも7月10日ね」

「うん」「ああ」

7月10日──。

まさかこの日に狂猫が動くなんて、私達はまだ知る由もなかった。

< 53 / 66 >

この作品をシェア

pagetop