雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。

「もしかして、あなたが狂猫の姫?」

情報屋のライトくんも正体を知らないという謎に包まれた姫。

「正解。お姉さんは頭がいいんですね。志貴くんなんて私がいいバイトを紹介してあげるって言ったら、すぐに心を開いて誕生日パーティーにまで招待してくれましたよ」

「まぁ、お姉さんを楽させてあげたい〜とか思ったんでしょうけど。今日だって私の言葉にまんまと騙されて捕まっちゃったんです」

見た目はどこにでもいる普通の中学生。

それなのに、話し方は香坂とそっくりだ。

彼女は私が志貴を馬鹿にしたら怒るとでも思っているのだろう。

でも、その手には乗らない。 
彼女の思い通りになんてならない。

「あなたどうして姫なんかやってるの?」

ライトくんの情報によると、彼女は狂猫の資金源。

中学生が大金を動かすなんてほぼ不可能だ。多分、そのお金は親のもの。

「刺激が欲しいからですよ。毎日、毎日退屈で。志貴くんをここに連れてきたのも、面白いものが見れるって言われたからです。ね?」

彼女はそう言うと香坂に腕を絡ます。

「俺は金が必要だったんだ。蓮見を潰すために。お前らと同じ契約上の関係だよ」

「え?」

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