雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


誰だとかそんなことを尋ねてる暇はなく、ひとまず彼に従う。

2階へと続く階段を駆け上がると、そこには縄から解放され伸びをする志貴とフライパンを握りしめる新那がいた。

「2人とも無事で良かった……!縄はどうしたの?見張りの人は?」

「姉ちゃん俺も護身術習ってたの忘れたのかよ?大人しくしてたのは隙を作るため。下で喧嘩が始まった瞬間ヒョヒョイと解いてやったつーの」

「志貴すごかったんだよ。見張りの人はフライパンでやっつけた!そこで倒れてる」

テニス部の本気なんか出したら、息の根が止まってるんじゃ……?と不安になったが、確認するとちゃんと息はあった。

「そのフライパンはどうしたの?」

「志貴がプレゼントは焦げ付かないフライパンがいいって言うから。それよりも、どうして委員長といるの?」

「ん?」

委員長?新那は何を言ってるんだと思いながら隣を見ると、そこにはメガネを外し、髪を無造作にセットする委員長がいた。

「委員長……!?」

「あ、やっぱ気づいてなかった?闇狼のメンバーとして会うのは今日が初めてだから仕方ないか」

委員長が闇狼のメンバー?
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