雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


だけど、学校で怜央と話すところなんて一度も見たことがないし、会合でも顔を合わせたことがない。

そんな特例が許されるのは……。

「もしかしてライトくんって……委員長?」

「正解。ライトは裏名。石橋右京(うきょう)(右=RIGHT(ライト))から真宙がつけたんだ」

「委員長って右京くんって名前だったんだ」

「そっから?って、呑気に話してる場合じゃなかった。決着が着いたみたいだから俺らも行こうか、最後の仕上げをしに」

最後の仕上げ……?

志貴と新那、3人で委員長の後を追う。


下に着くと、狂猫のメンバーはほとんど床に這いつくばっていて、香坂は満身創痍といった状態だった。

「おい、蓮見。これで終わると思うなよ」

「あ?これで終いだよ。狂猫は今日で解散だ。なぁライト」

怜央が声をかけると、委員長はスマホを取り出す。

隣にいた真宙くんは隠れていた美李亜を引っ張り出してきた。

入井(いりい)家具の一人娘が暴走族に金渡してたとかやばいんじゃないの?入井美李亜さん」

委員長がスマホに触れると流れ出す音声。

そこには、彼女が香坂と金のやり取りをするところが収められていた。

他にも写真、私がここに到着してからの音声まで。

もちろん、彼女が志貴を連れ去る協力をしたことも。


「こんなことが世間にバレたら入井家具は終わりだね」

その言葉に膝から崩れ落ちる彼女。

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