雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


「じゃあ、姫の席(?)は空席のままの方がいいんじゃないの?」

「そうはいかねぇんだよ。俺が姫をつくらないせいで、櫻子(さくらこ)……俺の幼なじみが狙われてる」

「つまり、蓮見くんはその櫻子さんを危険な目にあわせたくないってこと?」

「ああ。櫻子は心臓に病気を抱えていて、夏に手術を控えてるんだ。医者が言うには日常生活に問題はないらしい。だけど、激しい運動や心臓に負担がかかることは禁止されてる」


「……やっとわかったよ。蓮見くんが姫を探してる理由」

彼はその櫻子さんっていう幼なじみを護りたいんだ。

お金を渡して、身代わりを用意してでも。


「姫を探してる理由はわかったけど、どうして私なの?」


「さっき話したとおり姫は狙われやすい。だから、自分の身は自分で守れる奴のほうが有り難い。お前この前、学校に侵入した不審者を捕まえたんだろ?」

「よく知ってるね?」


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