夢から始まるホントの恋
ドアを押すと、カランと鈴の音が図書室のシンとした空気に鳴り響く。私はこの音を聞くと図書室って感じがして、意外と好きだったりする。
学校司書の30代後半ぐらいの女性が挨拶をしてくれたので、頭を下げ「こんにちはー」と控えめに返した。
静かな図書室。窓から漏れ出る光が机を照らしている。大好きな本に囲まれることが出来るこの空間が好きだ。
最近気になっている本がおいてあったので、読んでみようかと本棚に手を差し伸べた時だった。私の視界に誰かがうつりこんだ。
「琴音、ちゃん?」
名前を呼ばれ反射的に体を震わせてしまった。声の発信源に目をやると、荻原先輩が笑顔で立っていた。
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